令和4年(2022)12月市議会 一般質問
- 工藤けいこ
- 2022年12月20日
- 読了時間: 13分
更新日:7月31日
市民の暮らしに寄り添う、やさしいまちづくりへ
今回の市議会定例会では、河内長野市が今まさに直面している「地域経済」「ペットと福祉」「子どもたちのいじめ対策」という大切なテーマについて、市民の皆様の声をもとに質問・要望をさせていただきました。
地域経済では、モックル・フルル広場やキックス前広場のキッチンカー出店など、市有資産を活用した賑わいづくりに期待。行列対策や季節ごとの工夫、貸し館利用の促進など、持続可能な運営方法について提案しました。また「シビックプライド」の醸成に向け、公民連携での情報発信強化も要望しました。
高齢者とペットの共生については、取り残される動物たちを守るため、市が主体となって支援策を強化すべきと訴えました。地域猫団体の登録制度見直しや環境省の資料活用など、現場に根ざした対策を提案しています。
いじめ問題では、匿名で気軽に相談できる「はがきチラシ」の導入を提案。自己肯定感を育む大人の関わり方や加害者への支援の必要性にも触れ、子どもたちの居場所づくりに力を注いでいます。
河内長野市がより優しく、より暮らしやすいまちへと進んでいけるよう、これからも現場の声を丁寧に市政へ届けてまいります。
主な質問・再質問と答弁内容(要約)
件名1
物価高騰や人口減少から地域経済を守る施策について。
より活気ある河内長野市実現のための、市の資産を有効活用した賑わい創出について、市の見解をお尋ねします。
質問(工藤): モックル・フルル広場での移動式販売車(キッチンカー)の出店と市民交流センター(キックス)エントランス前広場の活用について、先日行われた社会実験の評価をお尋ねします。
総務部長: キッチンカーの出店により広場のにぎわい創出に一定の効果が見られ、参加事業者からの継続実施の要望や利用者からの再度の利用希望が多数あったことから、社会実験としては成果があったと捉えています。キックスエントランス前広場についても、河内長野市国際交流協会による事業で試行的にキッチンカーが出展され、活用の検討を進めています。
再質問(工藤): モックル・フルル広場の社会実験は、初日の昼過ぎにはほぼ売り切れとなるほどの反響があり、大成功だったと思います。定期的な実施はいつ頃から、どれくらいの間隔でされる予定ですか。また、今回実施して感じた課題や問題点などはありますか。
総務部長: 事業者と協議し、季節の良い時期に定期的に実施できるよう、次の春からの開始を目指して準備を進めています。間隔については今後最終調整します。課題としては、昼時に職員が一斉に食事をするため、行列ができて待ち時間が発生した点が挙げられます。この点については、事業者とも認識を共有し、今後の定期実施の中で行列の軽減に向けて調整していきたいと考えています。
再質問(工藤): キックスエントランス前広場について、参加事業者からの評価や問題点、今後の計画を教えてください。
生涯学習部長: 今回の試行は、キックスが直営になったことをきっかけに国際交流協会主催のイベント「世界の文化ごった煮」に合わせて実施しました。幹線道路沿いで目立ち、商工祭と重なる中でも非常に目立つ形で実施でき、キックス来場者を含め大きなPR効果がありました。具体的な売上は把握していませんが、事業者にとっても効果があったと感じています。従来の課題であった消防活動エリアとの兼ね合いや自転車置き場との兼ね合いも、現場職員の工夫で乗り越えられました。今後は、全館イベントと紐づけて実施すべきか、あるいは使用料を徴収する貸し館の形で実施するのかなど、様々な検討課題があります。結論を導き出すために、もう何回か試行実施を続けたいと考えています。
再質問(工藤): 市役所1階の市民サロンが新型コロナワクチン接種証明やマイナンバーの臨時窓口などで使用され、ボランティア団体が利用できない事態が起きています。キックスのエントランスも市民サロンと同じように今後活用することはできませんか。
生涯学習部長: エントランスはこれまで全館利用を前提として貸し出ししていましたが、今回の試行をきっかけに、部分的な使用許可が可能かどうかも含めて検討していきたいと考えています。
要望(工藤): 今後検討し、ぜひ活用してほしいです。
本市ブランディングと市有資産の活用について。
質問(工藤): 本市ブランディングと市有資産の活用について市の見解をお尋ねします。
総合政策部理事: 本市は優れた施策があるにもかかわらず、高齢化・人口減少といったネガティブイメージが先行しているため、イメージ転換が必要です。本市の魅力・特色を生かし、市民にとって誇れるまちとしてシビックプライドの醸成を図りながら、イメージ転換を目的としたブランディング事業に着手しています。ブランディング戦略としては、シビックプライドの醸成や公民連携による口コミ拡大、メディアを通じたプロモーションなどを市民と共に築いてまいりたいと考えています。令和7年の市制70周年を契機に、ブランドを意識した事業を展開し、継続し続ける事業にしていきたいです。
再質問(工藤): シビックプライドの意味を改めて教えてください。
総合政策部理事: シビックプライドとは、基本的に「この河内長野が良い」「河内長野を誇れる」「このまちで暮らせることを嬉しく思える」といったことだと解釈しています。
再質問(工藤): シビックプライドとは、単なる地域愛、郷土愛だけでなく、地域に貢献しようとする心意気が含まれると知り、良い言葉だと感じました。公民連携による口コミ拡大とメディアを使ったプロモーションについて、具体的にそれぞれ何をするのか教えてください。
総合政策部理事: シビックプライドの醸成においては、公民連携として、例えば市内の商店連合会と連携し、お店で河内長野の魅力を会話の中で伝えてもらえるよう、店主の方々にもそういった気持ちを持ってもらえるような活動を進めていきたいと考えています。メディアについても、放送局などとの連携協定を準備しており、広く活動をPRできるよう、企業との連携も模索しています。
要望(工藤): お店の方の口コミももちろんですが、メディアで放送局と連携するのは発信力が非常に強いので、ぜひお願いしたいです。シビックプライドが醸成されれば、転出者の減少や若者の転出抑制が実現し、住民が地域活性化に積極的に行動することで住みやすいまちづくりに繋がり、定住者・移住者の増加に繋がります。シビックプライドの形成には、自治体が主体となって地域の魅力を外部に発信し続け、地域の認知度を向上させることが大切です。各部署の皆様には、PRに奥ゆかしさを捨て、本市の優れた施策や魅力を胸を張って発信してくださるようお願いいたします。
物価高騰対策事業者支援金の申請、交付状況について。
質問(工藤): 物価高騰等対策事業者支援金の申請、交付状況についてお尋ねします。
環境経済部理事: 原油価格・物価高騰等の影響を受け、売上等が減少した事業者に対し、経営の継続を下支えするため、令和4年8月より物価高騰等対策事業者支援金を交付しています。令和4年12月5日現在、申請620件、交付497件で合計6,830万円を支給しています。また、影響の長期化を鑑み、対象月を拡大するなどの交付要件の一部変更と、申請期限を令和5年3月15日まで延長しました。
要望(工藤): 申請620件、交付497件、6,830万円の支給で、交付要件の拡大変更や申請期間の延長をしていただきありがとうございます。事業者支援窓口LINEは素晴らしいと思います。新しい情報がプッシュ通知されるだけでなく、後で見返したいときもすぐ探せるので重宝しています。市の施策で相談を受けた際には、事業者の方にもLINE登録を必ず勧めていますが、とても喜んでいただいております。これからもLINEを含め支援に関することは特に周知徹底をよろしくお願いいたします。
件名2
高齢化社会のペット問題と、地域猫活動について。
飼い主の高齢化や健康上の理由において、長年一緒に暮らしてきた家族同然のペットが取り残される事案が市内でも発生しており、現在はボランティアの方々が対応しています。ボランティア任せにしない対応について、市の見解をお尋ねします。
質問(工藤): 飼い主の高齢化や健康上の理由により、長年一緒に暮らしてきた家族同然のペットが取り残される事案が市内でも発生しており、現在はボランティアが対応しています。ボランティア任せにしない対応について、市の見解をお尋ねします。
環境経済部理事: 地域猫活動は、地域の理解と協力のもとに行われる長期的な取り組みであり、所有者のいない猫に起因する諸問題の解決策として有効な手段の一つと認識しています。市独自の支援策として、令和4年12月より地域猫活動団体登録制度を新設しました。また、さくらねこ無料不妊手術事業の行政枠チケットの交付対象を、自治会のみから登録済みの地域猫活動団体に拡充しました。高齢の飼い主等のペット問題は、高齢化が進む本市にとって大きな問題だと認識しています。飼えなくなったペットに関する業務は大阪府が所管しているため、市としても団体のご意見を伺いながら府に積極的に働きかけ、問題解決に繋げていきたいです。
再質問(工藤): 地域猫活動団体登録制度を新設し、さくらねこ無料不妊手術事業の行政枠チケットの申請を導入いただきありがとうございます。しかし、今の団体登録制度では市からの支援がなく、猫に関するトラブルやTNR事案が回ってくるだけで、案件が増えて手間と出費が増えて大変だとボランティアの方が感じています。今の制度について、私も説明を受けましたが、もう少し活動いただいているボランティアさんが使いやすい形に改正してほしいです。
再質問(工藤): 高齢者とペットの問題について、高齢ご夫婦が亡くなった際にペットが残されたり、介護施設入所者が自宅に残した猫の世話に通いノミが施設に持ち込まれたり、一人暮らしの男性が入院し家族がアレルギーで猫の世話ができなくなったなど、いずれも河内長野で活動されているボランティアが関わった案件です。高齢化が進む本市にとって無視できない問題です。ペットは家族の一員ですが、一人では生きていけません。預かり先を事前に探しておくことだけでなく、施設入所や飼い主が先に亡くなった場合も想定し、安心してペットを託せる人を決めておく必要があります。環境経済部からの発信だけでなく、地域の生活者の情報を多く持つヘルパーや福祉関係者とも連携し、周知に取り組んでほしい。環境省のホームページに「共に生きる高齢ペットとシルバー世代」というリーフレットが掲載されていますが、ご覧になりましたか。
環境経済部理事: ご提案いただいたリーフレットの原本を入手しました。複数部数を確保できる見込みですので、福祉部が所管する地域包括ケアセンターなど、高齢者の方々がよく目にする・集まる場所に配架してもらえるようお願いしようと思います。
再質問(工藤): 原本も入手し、配布もしていただけるとのこと、ありがとうございます。市のホームページにもリンクを貼って、自由に見ていただけるようにし、配布したい人は印刷して配れるようにしてほしいです。
再質問(工藤): 先ほどの事例はすべてボランティアが私費を投じて解決してくれていますが、もしボランティアが「もうこれ以上できない」と手を上げてしまったらどうなりますか。
環境経済部理事: ボランティア団体の尽力によって現状が維持できていることは十分に認識しています。市ができること、大阪府の責務としてやっていただきたいこともありますので、大阪府としっかり意見交換し、要望すべきことは要望していきます。また、活動されている団体が求めていることについても、引き続き意見交換しながらしっかりと捉えていきたいと考えています。
要望(工藤): 河内長野は大阪府内で一番高齢化が進んでいるまちで、戸建てが多いこともあり、ペットを飼っている方も多いと思います。ボランティア任せにしないために、府への働きかけをさらに強く、また市としてもボランティアの方への支援策をこれからも考えていただきたいです。お願いします。
どうぶつ基金TNRチケット活用に向けた進捗状況について。
質問(工藤): どうぶつ基金TNRチケット活用に向けた進捗状況についてお尋ねします。
環境経済部理事: (上記の「地域猫活動に対する市独自の支援策」の答弁に含む。どうぶつ基金のさくらねこ無料不妊手術事業の行政枠チケットの交付対象を拡充したと回答)
件名3
いじめの解決策について。
大阪府下で、いじめに対する先進的な取り組みを行う自治体があるが、当市でのいじめに対する取り組みについてお尋ねします。
質問(工藤): 大阪府内でいじめに対する先進的な取り組みを行う自治体がありますが、当市でのいじめに対する取り組みについてお尋ねします。
教育推進部理事: 本市では、いじめを人権侵害行為と認識し、全教職員が対応しています。学校では、いじめ防止基本方針や年間指導計画に基づき、道徳教育や人権教育、学校行事を通じて未然防止に取り組んでいます。定期的なアンケート調査や教育相談の実施により、いじめの早期発見に努め、発見した場合には初期段階から丁寧な指導を行い、早期対応、早期解消に取り組んでいます。いじめを受けた児童・生徒には必要に応じてスクールカウンセラーによる心のケアも行っています。教育委員会の附属機関として「河内長野市立学校いじめ防止等対策審議会」を設置し、専門的立場から意見をいただいています。他市の優れた実践や成功事例を研究し、いじめ対策の充実を図り、全ての子どもたちにとって安全で安心できる学校づくりを進めてまいります。
再質問(工藤): NPO法人プロテクトチルドレンが2022年6月23日に、こども政策担当大臣に提出した、いじめに対する全国児童対象アンケートでは、26,652名が匿名で回答し、全体で65.5%、中学生では77.8%が、メールやLINE、手紙など、会わずに相談したいと回答しました。これについてどう思われますか。
教育推進部理事: そのような傾向は出てくるだろうと、大体想像できる範囲だと考えています。
再質問(工藤): 2021年の内閣府の実態調査結果では、小学校低学年の子ども専用スマートフォンの利用率は21.4%、親や兄弟で共有が73.5%です。子どもたちは、いじめを親や先生に知られたくないと考えており、小学校低学年の子どもの8割がメールやLINEで相談できないことになります。また、低年齢ほどスマホ、タブレットのフィルター機能がいじめ相談窓口へのアクセスを阻害し、表示されない事態が起きているそうです。小学校低学年だと通話も制限されているため、相談窓口の電話番号にかけることもできません。そこで、寝屋川市では、はがきになるチラシを毎月子どもたちに配布しています。これについてどう感じられますか。
教育推進部理事: いじめ通報促進チラシは、いじめの未然防止と早期発見の方法として、今までにない方法だと認識しています。費用対効果については、今後調査し、研究が必要だと考えています。
要望(工藤): 寝屋川市はチラシのほかにもメールやLINE、フリーダイヤル、アプリでもいじめ相談を受け付けており、「1か月以内に認知したいじめは全件解決」を謳っています。いじめの厳罰化の取り組みもありますが、アンケートでは68.3%の児童・生徒がいじめを行った相手には「反省して謝ってほしい」と希望しており、厳罰は求めていません。いじめに対しては、被害者の心のケアだけでなく、いじめに至ってしまう加害者の心のケアも非常に大切だと考えています。自己肯定感が高い子はいじめをしないと思うので、自分が好きになれるような、大人や周りの人たちの関わりができるような河内長野をつくっていきたいと思います。教育関係だけでなく、皆様にも引き続きお力添えをお願いします。